今回は、表参道にある、表参道鍼灸マッサージ治療室「自然なからだ」の院長、手塚幸忠さんにお話をお伺いします。鍼灸学校の講師としても活躍されている手塚さんから、健康に関するアドバイス等を色々とお聞きしたいと思います。
女性の大半は“冷えている”
スタッフ(以下:S):
手塚さん、本日はよろしくお願いします!では、簡単に先生の経歴を教えてください。
手塚さん:
僕は元々、大学を出て、コンピュータ関係の会社に入ってSE(システムエンジニア)の仕事をしていたのですが、まあ仕事が大変で(笑)。よくSEの世界って、寿命が30歳って言わてるんですけど、本当に精神的にもストレスが多くて、夜は遅いし、肩こりや腰痛など体調もどんどん悪くなって来て、それでよくマッサージを受けていたのですが、ある先生のマッサージを受けたら身体がすごく暖かくなってビックリして、それで鍼灸やマッサージに興味を持ったのが始まりです。
それから会社を辞めて鍼灸の専門学校に入り、そのまま教員養成科に行って、その後は、東洋鍼灸専門学校で専任教員をして、今現在は、関東鍼灸専門学校で非常勤講師をしております。この治療院「自然なからだ」では院長をしており、学校の授業が無い日はこの治療院で治療に専念しております。
S:最初は患者としてマッサージを体験されて、東洋医学の世界に興味を持たれたのですね。今現在、治療院ではどのような治療をされているのですか?
手塚さん:
僕は、鍼と灸を症状によって使い分けます。経絡治療と呼ばれる治療法が基本で、伝統的な鍼灸治療や古典文献などからを学びながら、自分の治療に取り入れています。
S:患者さんは男性と女性、どちらが多いですか?
手塚さん:
この治療院には数名の鍼灸師がいるので、それぞれ違いますが、僕個人では8割くらいは女性です。
S:ほとんどが女性の方なのですね!年齢層はどうですか?
手塚さん:
そうですね、多くが30代40代の女性で、その次が50代、60代です。20代もたまに来られます。10代は年に1回あるかないか。まあ、10代だと何を話して良いかわからなくて、逆に困ってしまいますが(笑)
S:治療に来られる女性の主な症状って何ですか?
手塚さん:
30代40代は、仕事でのストレス、生理痛などの婦人系疾患、不妊治療などでしょうか。60代の方は病気の方もいますが、逆にアクティブに動きすぎて身体を痛めている方もいます。ダンスのレッスンを精力的にされている方など結構忙しく活動している人も多いです。30代、40代の方は、皆さん本当に体が冷えているんですよね。オフィスってエアコンが天井に付いているじゃないですか。だから冬だと部屋の天井付近だけが暖かくて、足元は寒い。夏も冷たい空気が下に行って、上が暑い状態なので、いわゆる冷えのぼせ状態になってしまうんですよね。
S:やっぱり、皆さん冷えているんですね・・・都内のオフィスワークの宿命のような。患者さんってほとんどが都内から来られますか?
手塚さん:
そうですね、都内も多いですが、千葉や埼玉など関東近郊から来られる方も沢山おられますね。まあ皆さん都内で働いている事が多いので、仕事終わりなどに予約されて来たりとか。
あ、あと一番遠い所だと、インドネシアのジャカルタとか(笑)
S:エエー!(驚)通われているんじゃないですよね??
手塚さん:
あ、もちろん、日本に帰って来られる時だけです。その方は元々、都内に住んでおられて通って頂いていたのですが、旦那さんの転勤でジャカルタに。向こうにはあまり良い治療院が無いらしくて、日本に帰って来た時には必ず来て頂いてます。その方の紹介で、最近はシンガポール在住の方など、日本以外の住まいの方々に来て頂く事も増えました。
S:やはり、日本の鍼灸治療って本当に質が高いですし、それに慣れちゃうと、他のマッサージとか受けたくなくなりますよね。
手塚さん:
女性には、“三陰交”というツボがオススメ
S:先生の患者さんの多くは女性だという事で、女性にオススメのツボを教えてもらえますか?
手塚さん:
先ほど言った通り、30代40代の方で不妊治療などで来られる方は本当に体が冷えています。生理痛などで来られる方も同じですね。基本的に冷えている人が多いので、下腹部とか三陰交にお灸をします。おへそのお灸とかもしますよ。前に古典文献で流産におへそのお灸が良いっていうのを見てやってみたら、確かに効果が表れている感じがしています。まあ、お灸をしなかった場合と両方を検証する事は出来ないのですが、感覚的に「あ、この人流産の危険性があるな~」と治療前に感じて、治療後にかなり良くなったな~と感じたり。この治療院は不妊治療専門ではないので、症例が何千とあるわけではありませんが。
でも自宅でのセルフメディケーションを考えたら、三陰交に市販で売っている台座灸をするのはオススメですね。下腹部やおへそ周辺は僕たち鍼灸師でも少し気を使うので、一般の方が行うのであれば、三陰交を温めるのは本当に良いと思います。
S:やはり、三陰交って重要なんですね。
手塚さん:
妊婦の方へのお灸とか、自分でもやってて本当に効果があって凄いなと思いますね。僕のプライベートの話になるのですが、実は最近赤ちゃんが生まれまして。
S:そうなんですか!おめでとうございます!
手塚さん:
ずっと自宅で週に2,3回は奥さんにお灸をしていたので、それのおかげなのか、出産当日は2時間で生まれて、めちゃくちゃ安産でした(笑)
あ、あと、赤ちゃんってお腹の中でお母さんやお父さんの話を聞いているって言うじゃないですか。僕、予定日よりも1週間くらい早く生まれて来た方が、僕のスケジュール的には最高に都合が良くて出産に関われる時間があったので、お灸をしながら「この日に生まれて来て欲しいな~」と言っていたら、本当にその日に生まれてきて(笑)
S:凄くないですか!!
手塚さん:
いや、本当に、鍼灸師の旦那で良かったって初めてその時思いました(笑)
S:凄すぎますよ(笑)奥さんには妊娠後から治療されたんですか?
手塚さん:
僕の奥さんは元々生理不順とかあったので、妊娠前から時々自宅でお灸をしたりしてました。まあでもこの治療院でやるような本格的な治療ではないですが。僕も自宅に帰ると、仕事で疲れてしまっているので、三陰交に市販の台座灸をしたりとか。
S:やはり三陰交ですか。鍼(はり)とかはどうですか?
手塚さん:
三陰交は、妊娠している方にはあまり鍼はしないですね。お灸が多いです。
僕の師匠の鍼灸師の先生からも、「お灸をすると安産で丈夫な子が生まれる」と聞いていたのですが、僕の場合も、出産当日は普通にお出かけして買い物とかして遊んでいたのですが、夜になって急に陣痛が来て、病院行って2時間でポンと(笑)母子共に健康で。出産に立ち会うと感動するとか聞いていたのに、感動するヒマも無く終わっちゃいました(笑)
S:いや本当に凄いエピソードですね。では、一般の旦那さんが妊娠した奥さんにやってあげるとしたら何かイイんですかね?
手塚さん:
僕がやったように三陰交に台座灸はオススメです。お灸の煙が苦手な方は、三陰交周辺をカイロなどで温めてあげるだけでも良いと思いますよ。
S:そうすると、オフィスとかでも、三陰交や下半身を冷やさないようにするって重要なんですね。
手塚さん:
本当にそう思いますね。ひざ掛けや、厚めの靴下を履くとかでも十分良いと思いますよ。
S:先生って、不妊治療の患者さんを見ていて、やっぱり患者さんの変化って感じますか?
手塚さん:
完璧にわかります、と言いたい所ですが、こればっかりは感覚の部分が多いので。しかし、治療を何回かして、「ああ、この人すごくお腹が柔らかくなってきたな」と感じて、その後に妊娠の報告を聞くとかはあります。お腹が柔らかくて、体もふっくらして来たら結構妊娠する人が多いですね。あくまで経験談ですが。
S:なんか、それって農業における良い土の話みたいですね。ふっくら柔らかい土を準備しないと、いくら良い種を撒いても良い作物が出来ない、という話があるじゃないですか。
手塚さん:
その通りですね!そうそう、最近、ある農業系の本を読んだのですが、土を肥やして作物の土台をしっかり作ってあげるって、本当に東洋医学そのものなんですよね。一緒だな~と。
S:結局、人間も自然の一部なんですね。
手塚さん:
僕は、妊娠に適したお腹って、最高級ベットが置いてある最高級ホテルの一室みたいにするべきだと思うんですよね。フカフカの温かい布団で、静かで、心地よくて。そんな心地よい所なら赤ちゃんが喜んで過ごせるだろうな~と。
S:その通りですよね!心地よい空間って、すべての人々が行きたいと感じますよね。赤ちゃんも一緒ですね。手塚先生、それ、ネタでしょ?(笑)
手塚さん:
いやいや(笑)でも、先ほどの農業の話の通り、いかに良い環境を作ってあげるかって事は非常に重要な事なんだと思いますね。
次回は、「オフィスワークの方に良いツボ」、「鍼灸で美白に??」などをお伝えしたいと思います。
三陰交(さんいんこう)は内くるぶしから指4本分上の所にある、女性にとっては特に重要なツボ。 |
次回は、「オフィスワークの方に良いツボ」、「鍼灸で美白に??」などをお伝えしたいと思います。
*インタビューの内容に関しましては、スタッフと専門家の個人的な主観や感覚的・経験的な話などが含まれております。絶対的な効能効果を保証するものではないため、あくまで参考としてお読み頂ければ幸いです。
今回取材させて頂いた、「自然なからだ」様のご紹介です。